「ウェブ進化論」の「玉石混淆(ぎょくせきこんこう:Wheat and Chaff)」的に、"石"とするか"玉"とするかはアナタ次第です。Appleネタと本で生きてます(笑)。雑記は別ブログあり。


by tacca884
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[本] マネジメントは部下と上司の合作:上司を動かすフォロワーシップ

上司を動かすフォロワーシップ 組織と個人が「win-win」になる部下力の鍛え方/吉田典生

以前書評を書いた「リーダーシップからフォロワーシップへ」に続き、フォロワーシップものです。

まず印象的な言葉として出てくるのは、一般的に会社にて「リーダーと呼ばれている人」イコール「リーダーシップを取れる人」というのは大きな間違いであるということ。チームをまとめて代表となっているから役柄的にリーダーと名を打たれるが、リーダーシップを取れるかどうかはその人の能力となる。実はリーダーと呼ばれているだけであり、実際は単なるマネージャーでしかない場合がある。リーダーの素質があるかの違いは意識の違いであり、リーダーという名が与えられていなくても当事者意識はありチームや組織に貢献しようという気持ち、言動を職場に働きかけることができることがリーダーシップである。

そしてマネージャでしかないリーダーをどう活かすか?それが部下の力、すなわちフォロワーシップとなる。実はフォロワーとして優れている人は「本物の」リーダーの素質がある。フォロワーシップによって上司をうまく使い、組織貢献をする行動はリーダーシップにも繋がる。将来的に上司という立場になる人が、今の自分の上司を動かせないのなら、部下を動かせるわけがないのだ。上司が部下を育てることに必要な内容は、そのまま部下が上司を育てる・活かすために必要なことであったりもする。上司の欠点を知り、うまく補って仕事を進めていかなければならない。まさしく組織マネジメントは上司と部下の合作なのである。

フォロワーシップとして組織・上司に対して発揮される力には、貢献力と批判力というものがある。貢献力とは上司からの指示に対して的確にその内容を解釈・確認し、遂行する力であり、批判力は上司からの指示に対して、その内容について再考させる・指示内容の調整をさせるなどの軌道修正を行う動力となる。ただ、それぞれが強すぎても問題である。貢献力が強すぎればイエスマンとなり上司の暴走を止められず盲目的に突っ走ってしまう。批判力が強すぎれば破壊的になり、組織やリーダーをつぶす結果となる。つまり正しいことだけをやることが正しい結果を生まない。こういう場合には、条件付きで提案して上司が気持ちよく軌道修正させるような調整力が求められる。

また、フォロワーシップを行う上で、上司の権力や動向、組織の力によってなかなかあるべきところに持っていけない場合もある。そういう場合でも自分の軸というものを持ち、少しづつ自分で変えられるところから変えていくべきである。自分がコントロールできる中で確実にやりきって貢献できることを常に考え実施していかなければならない。

書かれている内容が直接的にフォロワーシップに繋がるかと言えばちょっと外れて、仕事をする個人としてのあり方として、仕事に対する取り組み方という意味でのアドバイスが含まれている本であり、特に日々上司の動向でヤキモキしてストレスとなっている人は読んでみると良い。偽物のリーダーの上司なんかに期待せず、どう彼らを活用し、自分が得たい報酬(名誉、対人関係、成長、金銭)が得られるかをポジティブに考える方がよっぽどいい仕事の時間の使い方となるだろう。

上司を動かすフォロワーシップ 組織と個人が「win-win」になる部下力の鍛え方
上司を動かすフォロワーシップ 組織と個人が「win-win」になる部下力の鍛え方



【More:メモ書き】
・カリスマ性は組織を引っ張る力にもなるが、良い方向になると人はカリスマ性に頼るようになる。指示に従うだけの集団になってしまう。
・オバマは「We」、ヒラリーは「I」。オバマはWeを使うことであの有名な「Yes,we can!」で人を惹き付けた。
・マネージャでしかない「リーダー」にリーダーシップを期待するな。
・意識のリーダーシップ。ただ与えられた役割だけをこなす訳ではなく、常に当事者として上司や職場に働きかける意識と行動を大事にする。
・上司を動かせない人は、部下も動かせない。
・マネジメントは部下と上司の合作。
・突出した個性を持つリーダーを活かすには、いくつかの欠点を許容する度量が必要。上司が部下を伸ばすために必要なことが、そのまま部下の上司に対する関わり方に当てはまる。
・コミュニケーションのスキルは、相手との関係や場の雰囲気と相互に影響を与え合って、その機能を十分に発揮することもあれば、役に立たないこともある。上司力をうまく発揮するためのスキルも、実はフォロワー無しには使えないのである。
・優れた参謀はトップの目指すものに忠誠を誓って行動する存在でもあるのと同時に、忠誠から生まれてくる信頼関係のもとで、時には耳の痛いことを直言して軌道修正を求める存在である。
・貢献力と批判力は、絶妙にブレンドされたときに最高の力を発揮する。片方だけが強いだけだと逆にマイナスの面がある。
・批判力はただ単に組織を叩くためにも、組織を正しい方向に軌道修正するためにも使うことは出来る。
・正しいことを言うだけでは、正しい結果にはならない。正しいという思いが独善でしかないことも多い。
・フォロワーシップが「そこそこのレベル」だったら相対的に組織のマネジメントレベルは低下する。だからこそ、限界点を突破するフォロワーシップを職場に定着させることが組織マネジメントの問題を解決していく大きな力となる。
・自分という軸を仕事の中に持っていると、与えられた役割をなんとかして自分軸に接続させようとする知恵が回り始める。
・自分の目の前にある課題について、まず「自分が努力しても変えられないこと」をはっきりさせること。次に、変えられないからあきらめるのではなく、「他に何が出来るか」をはっきりさせること。
・できるかもしれないことだけではなく確実にできること、ただし上司や組織を巻き込んだ結果=(できる)ではなく、「自分たちでコントロールできる行動=(できる)」をはっきりさせていること。
・中継地点はゴールではないけど、ミニゴールとみなす。達成感が疲労した肉体を鼓舞してもう一度力を注ぎ込む。上司や組織の壁を乗り越えていく人はタフなのではなく、ゴール設定のスキルを持った人。
・3つ目の返事を用意する。条件付きイエスと条件付きノー。
・上司に対する言葉の選び方。QPR。Question、Propose、Request。
・反論やあきらめからくる承諾を質問に換える。質問が有効なのは、相手がもう一度考えるきっかけになる。反論したいとき、そのまま自分の意見をぶつけると途中で遮られて逆襲される・・・そういう場合には質問を投げかけるようにする。
・言葉にしていないことを放置しておくと、次第に上司や組織に対する不満、自分に対する無力感などネガティブ要素がたまってくる。言葉にしていないことを発見することで意識をこれから自分の行動に向け直すことができる。そして次にどうすればよいか、何ができるかを考えるヒントがつかめる。
・仕事を意味付ける力。パイレーツのメジャーリーグの球場の清掃スタッフに対して自分たちの仕事の定義し直し。その答えな「ファンに夢を提供する仕事」。
・社員をサーフィンにいかせよう。サーフィンにいかせるにはスケジュールは自分で決める。遅れたら他の時間を作ってカバーするなど、自律した判断力、責任感を求めている。
・不在による経営(Management By Absence)。社員を信じ、社員も期待に応えてくれる。
・数的優位にあるフォロワーの何人かが誰かのために行動し始めると、それが自分にも返ってきて、それをまた繰り返して・・・というキャッチボールが広がる。
・名誉、対人関係、成長、金銭という4つの報酬の扉。これは先で全て繋がっているから、開けたい扉、開けやすい扉を比べながら、行動が起こしやすく、その行動による相乗効果がイメージできる入り口をみつけよう。
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by tacca884 | 2009-08-20 00:01 |