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「ウェブ進化論」の「玉石混淆(ぎょくせきこんこう:Wheat and Chaff)」的に、"石"とするか"玉"とするかはアナタ次第です。Appleネタと本で生きてます(笑)。雑記は別ブログあり。


by tacca884
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[本] 我が身に染みます:組込みソフトの開発現場につける薬

組込みソフトの開発現場につける薬/杉浦英樹

お仕事柄、同じ悩みがある僕。よく開発現場の晒されている事象をとらえている内容。というか、どこも同じなんだなと。恐らく、普通にこの手の仕事をしていれば、周りからも言われるだろうし、無理矢理にでも聴かされたり、研修に行かされたりして、頭では理解しているところは多い。なので、とっても良くその辺を味わってて、それで何年もその現状を改善し、常に前向きにやっている人は特に読む必要はないかもしれない内容です。

いや、逆に言えば、ライトに読んで、ああ、俺も俺もというノリで「知的消費」してもよいかも。ただ、全然そういう知識を入れてもらってない人や、教育が行き渡ってない会社や部署に居る人、外部からの派遣社員や委託で仕事している人は読んでみると良いかと思う。

まあ、全般的に言えるのは、具体的にどうすればいいかというのは明言はあまりされてないけど、明言が出来ないくらい正直言えば組込みソフトの開発現場は多種多様で複雑で、技術や管理手段などの移り変わりが激しいわけです。常にどうすればいいか、何が出来るかをアンテナ張ってないといけないよ、というのが正直なところ。多分、僕がこういう話を誰かにしてといわれたら、この本に書かれた規模の深さでしか話出来ないと思う。そういう意味ではうまく一般化して書けているなとは思う。


ともかくこの本で語られるのは、開発者といえども社会人であり、ビジネスでの視点を忘れてはいけないということ。あとは、自分の置かれている状況が悪いのは開発管理者のせいにせず、自分でも状況を把握していないといけないことということ。また、開発管理者は、開発者に対して管理してやっている、納期どおり出来ないのはその開発者の能力がない、なんて一つも思わない事。問題があったり、納期が守れない時、事実を客観的にとらえ、どうすれば計画通り行けるのが一緒に考える事が大事であるということである。同じ会社で同じものを作ろうとしているチームなわけだから、人間として前に進んでいくよう、コミュニケーションして、改善・改革していくことが大事なわけです。

あ、あと自分にも当てはまってて、なるほどと思ったのは、最近の組込みソフトウェア設計者って組込みやるときに電気・電子の知識がなくてもプログラムできてしまうということ。プログラマがオシロスコープ使ったりとかって今はしない。そういう下位レイヤーの制御対象って見えなくても仕事できてしまう。実は自分達の動かしたいところってそこなんだよね。そこが見えないから、工夫・改善が見えなくなる・・・というと言い過ぎかもしれないけど、そういうところまで技術者なら興味を持った方が思わぬアイディアも出るよって言いたいのかなと思う。

もう一つ共感したのは、自分達の設計の元になる要求仕様がおかしい時や、なかなか提示されないときに、開発者は自分から提案していくくらいやらないといけない、ってところ。これはよく経験する(苦笑)。黙ってボーってしてても始まらないし、おかしいままで商品が出来てしまうと、困るのはお客様だということ、ちゃんと理解してほしい。「自分の責任じゃない。自分の分野じゃない」は単なる逃げであり、自分の仕事を全うするプロなら、その道は切り開いていくべきじゃないかなと。


まあ、開発者サイドだと、納得いかないって部分もあるかと思うけど、読んでみると日々の苦しみを打破できるヒントはいくつか見つかると思います。
by tacca884 | 2008-02-04 00:05 |