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「ウェブ進化論」の「玉石混淆(ぎょくせきこんこう:Wheat and Chaff)」的に、"石"とするか"玉"とするかはアナタ次第です。Appleネタと本で生きてます(笑)。雑記は別ブログあり。


by tacca884
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[本] 数字を読む・考える・伝える:問題は「数字センス」で8割解決する

問題は「数字センス」で8割解決する
問題は「数字センス」で8割解決する/望月実

久々に数字モノを。数字を読み取って、考え、そして人に伝えることで問題解決していくための様々な知恵がつまっている。

数字というのは定量的なもので、それに意味や理由を添えることで確実に人に伝えることのできるツールである。しかし、その数字は見る視点、見せ方などによって魔法のように変化し、人を見事に騙して納得させてしまうものでもある。

この本にもあるのだが、ある企業について「資産が100億円」という情報があると、凄い優良な企業だと思える。逆にある別の会社が「負債が100億円」という情報があると、危ない企業だなと思ってしまう。しかし、企業というものは普通は資産と負債を持っているものであり、この差額である利益を見ないとその企業の状況が良いか悪いかは判断できない。マスコミなどは企業に悪いイメージをつけたければわざわざ負債の方の数字だけしかださなかったりする。このような数字のトリックは各個人の普通の生活の中にも紛れ込まされているので、本質の数字を読み取るという力は必要である。

また、数字を読み取った後には、その数字でどう考えるかというのがポイントとなる。例えば、「この一年で利益を二倍にしなさい」というプロジェクトがあったとする。そう言われると非常に困難に感じるのだが、この利益の元となる要素を分解し、それぞれがどれだけ改善されれば二倍になるかを考えていくと意外と難しく無いように思うことができ、実施できるのではないかと思うことが出来る。もし、先の利益の分解要素が3つあるなら、それぞれが30%づつ改善されて利益貢献すれば、その掛け合わせで利益は二倍になるのである。それらを30%利益アップしてくださいという施策は案外出来そうに思えるのである。

数字をどう考えるかを行った後、肝心なのはそれを上司や経営陣にどう伝えるかである。特に経営陣は忙しく、ある限られたプレゼンテーションでうまく伝え、合意や決済をもらわなければならない(そうしなければ今までの苦労も水の泡だ)。そのためにも「騙す」わけではないのだが、「上手に」数字を伝える必要がある。プレゼン資料には不要な数字は入れない。せっかく調べたのだからと入れてしまうと本質ではないところに注目されてしまい、その回答に時間を取られたり、思わぬ指摘で回答に苦慮してしまうことになる。

また、伝える上で図やグラフは非常に有効である。単に数字だけ並べても経営陣は船をこいで寝てしまう。グラフの見せ方にも工夫があり、そのグラフの目盛りの幅を変えるだけで印象が変わる。たいした変動がなくても、目盛りの間隔を狭くするとV字に急激な変動をしているように印象づけることができる。ただし、この辺のグラフのマジックは、経営陣ともなると心得ているところがあるので、多用・悪用すると自分の信頼を失うので注意が必要である。


このように、数字はどういうもので、どう扱っていくべきなのかをよくわかっており、数字に騙されず、数字を手なずけて上手に利用してビジネスを進めていける人が仕事の出来る人間であり、問題解決力の強い人間でもある。
by tacca884 | 2008-08-07 23:54 |