「ウェブ進化論」の「玉石混淆(ぎょくせきこんこう:Wheat and Chaff)」的に、"石"とするか"玉"とするかはアナタ次第です。Appleネタと本で生きてます(笑)。雑記は別ブログあり。


by tacca884
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[本] 日本一オーラのない監督の組織論:リーダーシップからフォロワーシップへ

リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは/中竹竜二

フォロワーシップという言葉はここ最近、自分の組織の中でも啓蒙しているものである。つまりは部下力。上司やリーダーに多くを求めず、メンバとして上司・リーダーをフォローして組織を成長させていくもの。僕の理解はそれくらいであり、個人的には日々の仕事で上司の取りこぼす仕事をしっかり拾い、丸投げ状態なものを他のメンバに向けて翻訳してマネジメントしたりと、自分はしっかりフォロワーシップを発揮しているものだと思っていた。しかし、この本を読むと、自分がやってきたことの「行動」だけがフォロワーシップではないことに気づかされた。足りないもの、それはリーダーという立場に対する尊敬の意であった。

この本の著者は早稲田大学のラグビー部監督。早稲田のラグビー部と言えば名門。その人の書いた本ということで、最初フォロワーシップという言葉だけに惹かれて買ったが、きっと暑苦しいスポーツマン的なことが多く書かれているのだろうと思っていた。しかし全然そんなことなはい。ラグビーを通じて感じ取った・学び取った組織運営のノウハウは企業の組織運営に繋がるものであり、スポーツマンの暑苦しさというものが微塵も無かった。逆にスポーツマンにある人を育てることやチームに貢献するという熱さは十分に込められており、かつ、冷静な分析と方針を持ってラグビー部の監督として組織運営してきたことが読み取れる。

著者の前任の監督はラグビー界でも有名なカリスマ的な監督・清宮氏。そのカリスマ的な監督の後、「日本一オーラのない監督」として就任し、周囲の雑音の中も冷静に自分のスタイルを築いて大学選手権で二連覇する実績を残している。前任者とはタイプの異なる監督でありながら、選手を成長させて優勝したという実績が残せたということは、根本には著者のブレの無い確信的なスタイルがあったからではないだろうか。

その著者が組織運営で大切にしていたもの、それがフォロワーシップ。選手に主体性を持たせ、自主的に成長していく仕組みづくりを行った。選手の中でマルチリーダー制による組織運営、選手同士のチームトークなど。著者は前任者のようなカリスマ性が無いことを逆に利用し、選手に監督に対する絶対的なリーダーとしての期待を持たせず、つかず離れず、それでありながらしっかりとポイントを押さえてフォローするようなスタイルを取って行った。これにより選手がフォロワーシップを発揮し、選手自身は成長し、その結果、組織全体つまりこの場合だとラグビー部のチーム全体が成長し、強いチームとなっていったのだ。

しかしこの本、かなりたくさんのことに気づかされる。僕も自分がフォロワーシップをしっかり出しており逆に今はそれを後輩に教えている立場と思っていたがそれは思い上がりだった。冒頭にも書いたが、実は自分がフォロワーシップと思ってやっていることは「行動」としてはそうなのだが、足りなかったのは心の中であった。リーダーは期待できない、組織を良くするためのことはどんどんリーダーに指摘しないといけない、リーダーが出来ないなら自分がやらないといけない、という思い上がりがあったのだ。この本の中にある「リーダーのプライドコントロール」と「ポジションリスペクト」というものがこの本から得た大きなところだ。

正論を言うということは大事である。しかしそれは時に刃物のように人を痛めつけることがある。誰しも正しいことを指摘されることは良い気分ではない。なぜなら、組織を正論どおりに運営するために日々リーダーは苦労している。苦労してもなかなかうまくいかないものなのだ。また、正論をぶつけるのに近いが、メンバは不満を含めた要望をリーダーにする。メンバはリーダーがそれに応えられないと「リーダーのくせに」という思いを持ってしまう。これらが行われるとリーダーのプライドはズタズタとなる。これではフォロワーシップなんて発揮されない。フォロワーとしては要望は質問へ変換してリーダーに柔らかく提案することで、リーダーのプライドを傷つけない(プライドコントロールする)のがフォロワーシップとなる。リーダーの立場になって敬意を払うこと、心の面がフォロワーシップには必要なのである。といっても、なかなかリーダーに対して不満もあるだろう。そういうときはリーダーそのものの人格ではなく、リーダーという立場(ポジション)に敬意を払うこと(つまりポジションリスペクトすること)が、お互いにうまくいく方法なのである。

何かと重要視されるリーダーシップだが、もはや完璧にやりきれるリーダーシップというものは、複雑巨大化した組織ではなかなか生まれてこない。むしろメンバそのものが強くなり、フォロワーシップを発揮させる方が組織のためであり、リーダーの役割はメンバに対してフォロワーシップを出しやすい環境づくり、教育や運営スタイルをコッソリと用意していくことが大事なのかもしれない。

リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは
リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは





【More:メモ書き】
・監督やコーチの指示よりも、選手同士が行うチームトークやユニットトークに重点を置き、複数のリーダーで組織をマネジメントするマルチリーダー制を敷く
・フォロワーシップとはどうやって目の前の若者を教育すべきかを考えるのではなく、どうやったら彼らは自然と勝手に成長してくれるのかを突き詰めて考えること
・リーダー不在の業界は実は良くあるケースで、ほとんどの人が理想のリーダーに出会うことは少ない
・リーダーというのは単体であるため、全てのフォロワーの期待に応えようとすると矛盾が起きてしまうのだ
・理想のリーダーを追い求めるのは困難である。「最悪なリーダー像」を極力避けるという発想。ほとんど部下からは喜ばれることはないが、大切な部下を裏切ることは少ない
・良いリーダーとは、個別のスキルを身につけることではなく、身の丈に応じた言動・態度を常に貫くことではないだろうか
・スキルというものはドット(点)で示されるが、スタイルというものはライン(線)とイメージしてほしい。点のスキルを線にするのがスタイルである
・日本一オーラのない監督
・期待にそもそも応えない態度を一定期間貫けば、最初はフォロワーから雑音が聞こえるがそのうち彼らは期待しなくなり諦める
・ムダなプライドはなるべく持たない
・組織マネジメントにおいて、リーダー自身ができないことを無理矢理やろうとすれば必ずといっていいほど組織は崩壊する
・世の中に浸透している「正論」からは、まず自分を切り離してしまった方が良い
・VSSマネジメント。まずビジョンを描く。現在からビジョンに向かうまでの道のりをストーリーにする。最後にストーリーの裏側にあるシナリオを用意する
・ビジョンを設定するのに大事なのは具体性である。また、ビジョンには「ワクワク感」が必要だ
・ビジョンにはワクワク感が必要だが、ストーリーには映画の主人公のような「抑揚感」が必要だ
・組織に不満を持った人間がいる場合、往々にして、リーダーの理不尽さや失敗は雪だるま式に大きくなっていく。それは徐々に大きくなって広がり、最終的にはあたかも事実のような形で元の場所に戻ってくる
・スタイルには良し悪しというのは関係なく、格好悪かろうが、とにかく強烈に持つことが最大の武器である
・リーダーがスタイルを持ち、フォロワー全てがそれぞれのスタイルを持つことで、組織のスタイルが確立されたとき、チーム力が上がると同時に、個のスタイルがより強固になる
・全員がリーダーと同じ気持ちでいること。与えられたり指示されたりするのを待つのではない
・リーダーとしてフォロワーシップを発揮していくためには、フォロワーの成長の機会を奪っているケースに早く気づかなければならない
・フォロワーシップとは、企業理論やリスク回避というリーダーの視点ではなく、いかにすればフォロワーが育つかを前提に考えることである
・組織の中で、リーダーとフォロワーはお互いに「目標」や「成長」という言葉の定義をすりあわせておかなければならない。その上で、自主性尊重か管理体制かの環境を決めていくべきである
・フォロワーのスタイルの構築のために、場合によっては、リーダー側のメリットも無視しなければならない
・リーダーはその組織の中でリーダーにしか出来ないことがあればあるほど、リーダーとしての威厳を発揮し、存在感を出すことが出来る。しかしリーダーのためのフォロワーシップという観点からすれば、リーダーにしかできないことをゼロにすることがリーダーの最大の役割といえる
・個人面談というのは、彼らが通常使わなければならない気や引力から、一時的に切り離してあげられる貴重な空間と時間
・面談というものはパフォーマンスの悪い選手にとって最高のプレゼンテーションの場である
・短所の克服よりも、長所を磨くことに重点をおいている
・フォロワーは組織が下す評価に揺さぶられず、自分自身の力を向上させるためのストーリーとシナリオを持てるかが重要
・三流の選手には三流の選手だけが輝く道がある。だからこそ三流の選手にはどうどうと三流の道を歩いて欲しい
・選手や学生、部下というものはいつも周りの伝統や期待と戦い、ときに自ら悩み始める。そんな無駄な悩みを取り除いてあげることも、リーダーの役目である。
・面談を置こなリーダー側は、選手のビジョンとストーリーをチェックするための入念な準備、そして相手の懐に入り込むための準備に対する自信と覚悟が必要だ
・組織というのは、個々人の意識、能力にばらつきがあるので、次のステージへの方向性は出来る限り一つにしぼった方が良い。その決断を下すのがフォロワーの中におけるリーダーといえる
・多くのミスの場合、どちらかがはっきりと悪いということはあまりない。だからこそ、お互いが歩み寄らなければならないのだ
・監督として注意していることは、学生からの提案に対してきちんと反応することである。学生が自主的に議論して決定したことが、それが正しいか否かに関わらず、組織運営に影響を及ぼしていることを実感してもらうためだ
・マルチリーダー制。常に複数のリーダーを置くことで、誰がリーダーになってもフォロワーはそれに順応できる組織風土を作るための体制である
・マルチリーダー制を導入するとどんなリーダーであっても場合によっては、他のリーダーをフォローすることが必然となる。そのため、リーダーシップとフォロワーシップをバランスよく保ちながら発揮する力が養われる
・組織の存在意義を再確認することがフォロワーとしてのフォロワーシップの発揮につながる
・個が単体では達成できない目的やテーマのために、組織が存在する
・フォロワーが持てる選択肢。自分自身の個としての成長を最優先、仲間と共に成長する、リーダーを成長させる、リーダーを代える、組織を脱退する
・組織が巨大化すればするほど、通常、フォロワー一人ひとりの責任や役割は小さくなる。さらに組織自体が硬直化し、進化や変化を恐れ、組織の抜本的な改革が困難なときは、一フォロワーの生み出す組織への貢献度は低くなる。その場合、フォロワーは自分自身の成長を最優先に考えることが望ましい
・フォロワーは失敗を恐れる必要がないので、思い切って行動できる
・開かれた失敗は財産になる。開かれた失敗をするにはどうすればよいか?それはチャレンジすることである
・「できる」とは能力がつくことではなく、日々絶え間なく「きちんと+する」こと。ようするに簡単な仕事をなめてはいけない
・責任を持つということは、準備に責任を持ち、実行に責任を持ち、改善に責任を持つことだ
・フォロワーとして仕事ができるとは、正当に理不尽を受け入れることである。フォロワーとして己を成長させるとは、言い換えれば、全てを受け入れることである
・非公式プロジェクトの利点は外部に対して責任が無いこと。気楽でありいい加減だが、自然とアクションをとりやすい
・リーダーのプライドコントロール。正論は刃物。誰しも正しいことを指摘されるといい気分ではない。何故か。組織を正論どおりにするために、リーダーは日々、四苦八苦しているからだ
・フォロワーのエチケット。「要望」は「質問」へと変換すること
・リーダーの言っていることに納得ができない。そんなときはリーダーの立場になってあげること。そしてその立場に敬意を払うこと
・ポジションリスペクト。リーダーそのものの人格ではなく、リーダーという立場(ポジション)に敬意を払う(リスペクトする)こと
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by tacca884 | 2009-02-18 02:23 |