「ウェブ進化論」の「玉石混淆(ぎょくせきこんこう:Wheat and Chaff)」的に、"石"とするか"玉"とするかはアナタ次第です。Appleネタと本で生きてます(笑)。雑記は別ブログあり。


by tacca884
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[本] リスク管理とは将来に対する想像力:会社に人生を預けるな

会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く/勝間和代

勝間さんの「預けるな!」といえば「銀行にお金を預けるな」ですが、今回はリスクマネジメントに関する本で「会社に人生を預けるな」というものです。

この本を読むと思い出すのは「金持ち父さん貧乏父さん」のラットレースのこと。会社に所属し、会社に使われ、自分の人生をコントロールできずに働き、一生懸命働いているのに貧乏である・・・まさに会社に人生を預けている状態であり、これが人生のリスクとなる。会社なんていつかなくなるかもしれない。そんな不安定なものなのに「安定している」と勘違いしてそこに居続けようとする。いざ、なくなると何も出来ない人がたくさんいたりする。

この勝間さんの本で強く叫ばれているのが「終身雇用制」について。これが働く人にリスクを取らさせない原因である。リスクをとらなければリターンは生まれない。リターンを生み続けなければ経済は成り立たないし、働く人にも恩恵が行くこともない。リスクを回避するという楽な生き方をすることで逆に大きなリスクを背負うことになる。また、終身雇用制による人材の流動性が損なわれると働く人の不均衡が生まれ、中高年の男性が働き過ぎになり、女性や若い世代に仕事が無いという状況を生んでしまう。

リスクについてはこのブログで他にもリスクに関する書籍を読んで紹介しているが、リスクとは予測できないものではない。リスクマネジメントとは予測できるリスクを管理することである。そして日々自分の周りを取り巻いているリスクを把握し、最小限の被害に抑えることである。リスクはゼロにはならないので、リスクといかに上手に付き合っていけるかが大事なのである。

また、なかなか面白いのが勝間さんの大胆な提案がやはり良いです。まず何度も出てきている終身雇用制の緩和。そして道州制の導入による東京集中型と地方統合による州の州権限強化によるより素早いマネジメントサイクルの構築。個人における源泉徴収・年末調整の見直しによる支払い税金の明確化など。今の高齢者によるシルバー資本主義な政治家や社長さんに勝間さんのような発言をすると真っ赤になって怒ってきそうだが(笑)、勝間さんの提案はとてもアグレッシブで刺激的だ。日本は改革・改革と叫んでいる割には出来ていない。それは勝間さんの言う「変えることへのリスクを取ってない(取れない)」からであろう。この本でも「お上に頼るな」と言っているところがあり、基本もうリスクを取るには歳を取り過ぎた・・・そして取らなくても生きていける人が仕切っている企業のトップ、政治のトップでは何も変えることはできない。そこに対して何か文句ばかり言っても仕方が無いことはそろそろ気づかなければならない。

「会社に人生を預けるな」は大きく見れば「国家に人生を預けるな」ということになる。今あることが当たり前だと思って思考停止で受け入れることは非常に危険なことである。将来の自分がどうなるのか?将来の今いる自分の会社・国がどうなるのか?という想像力を働かせることがリスク管理では必要になってくる。そう考えるとリスクを取ること、リスクを管理することに対してワクワクしてくる。自分の人生は自分でコントロールすること、そして自分でコントロールできることの幸せを感じることが出来れば、立派なリスクリテラシーを身につけたことになる。

会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書)
会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く




【More:メモ書き】
会社に人生を預けるな 勝間和代
・リスクを正しく理解し、コントロールすることで、私たちがより狭い意味で理解している「危険」を最小限に抑える
・リスクとリターンは表裏一体。どのような適切なリスクをとればそれに見合ったリターンが得られる可能性があるかを常に評価し、判断し、より適切な管理方法の継続を習慣化するのである
・リスクは危険だけを意味するのではなく、危険に対する不確実性のコントロールを意味する言葉。その不確実性をコントロールできれば、自分をより有利な立場に置くことができる
・現代は「適度なリスクを取らないことに対してのリスクの方が、全体のリスクを高めている」時代。その典型的なものが終身雇用制。
・終身雇用という制度そのものが政治家にも、官僚にも、ベンチャー企業志望者にも、大きなリスクを取ることを阻む仕組みになっている
・一つの会社に終身雇用制で雇われているということは、いい意味では小作農、悪い意味では奴隷制に近いもの
・従業員が自分で出来る裁量の範囲でどんなに生産性をあげようとしたとしても、その企業がどこの業界に属していて、どんな経営者で、どういう会社がライバル会社で、どれくらい儲かるものなのか、といったような社員の能力とは関係のない外部要因で生産性が決まってしまうため実力を活かせない
・終身雇用制の枠組みで暮らそうとしている人には、それは人為的に競争を引き下げる制度であり、「危険」という意味のリスクを回避したい人にとっては楽な生き方を提供する制度である
・我々が終身雇用を好み、企業も終身雇用制を崩さなかった結果、雇用の流動性は制限され、男性の働き過ぎ、女性の仕事のなさ、中高年の働き過ぎ、若年層の仕事のなさという不均衡を生んでいる
・外資では解雇されても、一定のスキルがあれば次の仕事は2~3ヶ月で見つかる。企業もわかっており、解雇時には半年分くらいの給料を上乗せする
・終身雇用制がある限り、中途採用市場は大きくならず、男性に比べてライフスタイルにおける変化が激しい女性の活用もあまり進まない
・個人個人、企業ともにリスクを取ることを避けよう避けようとすればするほど、大きなリスクを抱えることになり、その構成員である我々も幸せにはなれない
・リスクを取るとは、計算されたリスクをとること
・リスクが確率分布であることを理解していないと結局は儲かっているときは上ばかりを見て損しているときは下ばかりを見ることになる。確率分布から離れて一方向だけの判断ばかりしがちになる
・リスクマネジメントとは過度の変動を抑えること
・カフェインを取るな、清涼飲料水を飲むな、白米を食べるなということではなく、それを摂取することのリスクを理解することが重要
・リスク管理とはどうしても自分の行動半径に入ってくる物事について、管理する対象物の損失幅をコントロールすること。リスクの特徴はゼロにならないこと。リスクと仲良しになること
・なぜスケジュール管理を自分でするのか?それは我々の貴重な資源である「時間」を人に預けてしまうことはリスクであるということ
・社会の弱者を保護するシステム。全ての人が自分を取り巻くすべてのリスクを理解してきちんと管理できることは不可能だから
・リスクについては少しでも早く気づいた人が警鐘を鳴らすべき
・何がリスクかということを見つける能力と、見つけたリスクについて起こりうるシナリオを考え、代替え案を考え、最良のリスク・リターンを見つけるという「リスクリテラシー」が必要
・お上をたたくことによって、自分たちのリスク管理、あるいはそのリスクを回避しようとしても、何も始まらないから
・リスクという観点からみれば私たちはただでさえお上に責任を押し付けているという文化的な背景があるのに、お上はお上で、官僚、政治家ともにリスクを取らない、あるいは取れないのである
・お上はかなりテキトーだし、たいした実力もないのである
・シルバー資本主義。政治家自身も高齢者、選挙にくるのも高齢者。高齢者が政治を行っている。つまり税金の使い方がものすごい勢いで高齢者向けになっている
・サブプライムローン問題は、市場主義が問題だったわけではなく、市場へのリスクマネジメントがうまく働いていなかったためである。政府が自己資本比率などでリスクの総量を規制したり、過度な証券化手法を規制したりするべきだった
・リスクの連鎖がインターネットのような通信技術の発展によって加速された。人と人とのコミュニケーションやデータ転送が円滑になり、リスクの移転がより簡単になった
・現代に生きる我々はリスクに対する感覚が鈍っている状態にある。食品偽装問題にしてもその原因を注意深く見ていくとリスクに関して過保護状態になり過ぎていたこともその一つだ
・一人一人がリスク管理できるようなボトムアップ型のものが必要になる
・よく考えれば我々が自助努力できること、少なくとも自分一人で完結できるようなリスクマネジメントはコツコツと行った方が自分のためである
・源泉徴収・年末調整という仕組みは、自分がいくら税金を納めていて、いくら年金を払っていて、何が経費なのかといった全てのことをわからなくさせてしまうシステム
・リスクを良く学び、管理するには、源泉徴収・年末調整の見直し、道州制の導入、終身雇用制の緩和が必要
・レスポンシビリティをとるにはリスクに敏感になる必要がある。リスクを理解することで、リスクを自分がどこまで負えるか、または負うべきかというレスポンシビリティを理解、体感、実現することができる
・リスク教育の肝は、「将来に対する想像力」
・0.2%日々の改善。365日で倍になる
・リスクをとれる自由は素晴らしい
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by tacca884 | 2009-04-13 23:46 |