「ウェブ進化論」の「玉石混淆(ぎょくせきこんこう:Wheat and Chaff)」的に、"石"とするか"玉"とするかはアナタ次第です。Appleネタと本で生きてます(笑)。雑記は別ブログあり。


by tacca884
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[本] 無能を生む階層社会:ピーターの法則

ピーターの法則/ローレンス・J・ピーター

なかなか面白い本だった。階層社会においての昇進はいずれ無能のレベルに達する。そのため、会社や政治の世界である程度出世・成功した人はその後無能となり、無能ゆえにそのレベルからは上がることも、そして階層社会の仕組みとして下がることもできない状況にあるという話。

こういう話を色々当てはめてみると見事に納得と思えることが多い。管理職の人間が次々に同じレベルの階層で入れ替わって横滑りしていっているところなど、無能レベルになった人達が無能であることがばれないよう、対外的に誤摩化すために行っていることだったりとか。しかも階層社会の無能レベルの人間がそれに協同しているからたちが悪い。本当有能だって思える人、少ないし、そう思える人って出世しないんだよね。スーパー有能人間は階層社会を崩壊させるから、解雇されたり、無能集団による策略で失脚させられたりするようだ。無能は有能な人が出てきてほしくないわけであり、無能は無能を出世させて安心できる階層社会を作り上げる。

政治も会社も、上層のマネジメント層が何やっているかよくわからないところが多かったりする。下の人間や庶民からどうこう言っても、なんかこちらが不利になりそうなそれっぽい言葉や権限、その無能階層で繋がっているコネとかをうまく使って見事に却下されていくように感じる。

「万能会話・万能スピーチ」についても妙に納得。どこでも聴く「良さそうに聞こえる」言葉を偉い人達は持っているなあと。僕は逆に、話をする相手がこの手の言葉が好きだろうとわざとこれを使って、見事見破られて玉砕されたことはありますが(笑)。大半の人間には、ふーん勉強になるなあと納得させられてしまうことは多いです。特に無能同士は無意識に言ってたり、感動したりしてそうです。

なんかこの本、読んでいると皮肉混じりなことが多くて読み始めたときには嫌悪感を感じましたが、それはこの本がわざとそういうスタイルを取っているだけであり、書いてあることをちゃんと読めば40年も前の本なのに良く分析されているなと思うし、40年経っても変わらないんだなとも思った。人間や社会の根本を良く理解して書かれている本だけにここまで残って来れたようですね。

この本は皮肉めいたことをいってネガティブにさせようとしているわけではないです。本当に最後の方に出てくるのだけど、「生活の質の向上を通じて、無能に達することを防ぐ」というところがポイントであり、つまり会社の階層社会で出世を目指して体を壊してまで頑張るだけが人生ではなく、自分が社会的に、そして地球規模の考えて、自分が有能でいられるところで自分の生活を良くして、健康で楽しく人生を送ってくださいね、というところが本質。早くから、最近言われる「ワーク・ライフ・バランス」を唱えている本だなと感じました。

ピーターの法則
ピーターの法則




【More:メモ書き】
・新しい地位で有能と認められるのは、次の昇進が待っているということ。最後の昇進とは有能から無能のレベルになる昇進となる
・仕事はまだ無能レベルに達してない者によって行われる
・疑似昇進とは階層社会の外にいる人を欺くこと。成功すれば、自分の人事の失敗をカモフラージュして、部下の意欲をとりあえずは維持し、自分のいる階層社会を維持できる
・職業的機械反応。目的よりも手段が意味を持つ人。書類そのものが、その書類が必要としている理由より大事になる
・有能か無能かは見る人によって変わる。善悪の観念もそうだし、美意識だってそう。ついでにいえばコンタクトレンズもそうだ。どれもこれも、見る人の眼の中にあるのだから
・スーパー有能人間は解雇されてしまうことが少なくない。なぜならその人は階層社会を崩壊させ、階層を維持しなければならないという階層社会の第一の掟に違反するから
・引かれ昇進者の仲間になるためには。パドロンを見つける、パドロンに動機を与える、はい出せ!はい上がれ!、見切りは早めに、複数のパドロンを持つ
・押しの上昇志向は年功序列の中では圧力で無力になる
・押しは過大評価される。熱心に働く押しの強い人は早く出世できる思い込み
・事業の失敗の原因は「管理職のマネジメント能力の欠如」が53%。せっせと服従していた人たちが、手のひらを返したように指導者になれと言っても、無理というもの
・政治の無能。政治・経済の専門家は既に無能レベルであり、指摘は馬鹿げているか、見当違い。筋の通ったことを言う人もいるが、実行に移す能力は持ち合わせていない。政治・経済の組織が無能な階層社会の数珠つなぎなので、どんな提言であれ、実行されるまでにはいたらない
・靴の修理屋よ、今の仕事をしっかりやれ
・料理人が多いとスープはダメになる
・階層社会の中の人間は、自分が有能でいられる場所にとどまり続けることを潔しとしないのである
・創造的無能。永続する幸福というのは、最終的な昇進を会費することによってのみ得られる
・無能レベルに陥った者が労働をし続けることは、会社を倒産させたり、政府を転覆させたりする危険と隣り合わせである
・無能に無能を加えても、相変わらず無能のままである
・最終到達症候群のために、患者たちは自分の潰瘍や心臓発作の方が深刻だと競い合う
・難癖症。終点にたどり着くやいなや、部下を常に不安定にしておくことで、自分の危うさを覆い隠そうとする上司がいる
・万能会話・万能スピーチ。終点到達後、思考停止や思考量が低下する者がいる。それを補うために万能会話・万能スピーチを常に用意しておく
・管理職渡り。無能な管理職が一時的に別の部署の長に収まったり、なんらかの委員会の委員長の肩書きを与えられる
・はじめから昇進の話をもちかけられないように工夫する
・マイナス思考は人類が無能になってしまうことの予防薬。自分の体を壊してまでやるべきことか、を考える
・無能になったことへの気休め。実績ではなく、イメージで何倍もの実績の代わりにする
・生活の質の向上を通じて、無能に達することを防ぐ
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by tacca884 | 2009-05-06 16:23 |