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「ウェブ進化論」の「玉石混淆(ぎょくせきこんこう:Wheat and Chaff)」的に、"石"とするか"玉"とするかはアナタ次第です。Appleネタと本で生きてます(笑)。雑記は別ブログあり。


by tacca884
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[本] 妥協をしない仕事力:スティーブ・ジョブズ 「超」仕事力

スティーブ・ジョブズ 「超」仕事力/竹内一正

久々にスティーブ・ジョブズ本です。彼にまつわるエピソードは飽きるくらい本でも見ているので、その辺はお話のつなぎという感じで読んでいけば良い。もちろん、知らない人には彼の伝説的で大胆不敵な行動や言動には驚かされるだろう。

全体について感じられたのは、とにかくジョブズの一つのことに対する集中力やこだわりが凄いこと。妥協をしないモノづくりをしている。どうしても納期優先となると妥協の産物になりがちなのがアップルではない会社の製品ではあるが、アップル製品には妥協からの産物は無いように見えてしまう。とにかく自分が欲しいもの、アップルの社員が欲しいものを作り込む。それは、市場のお客様も欲しいものだと信じて疑わない。(でも、実際市お客様がどうであるとか調査を入れた上で、製品開発を行うことはあまり無いようだが)

実はそのこだわりというものは、ある意味目の前にある仕事に対して一生懸命自分が良くしてやろう、世界を変えてやろうという高いレベルで取り組んでいるから出てくるのであろう。ジョブズはアップルを追われ、ネクストやピクサーで仕事もしているが、そのときにも一切妥協は見せていない。自分は本来これをやるべきだとか、これは自分の仕事ではないとかいう観点はなく、目の前にある仕事を命がけでやる。この姿勢が通常あるような普通の製品ではない、一歩いや数歩以上も先を行ったものを生み出すことのできる秘訣なのだろう。

ある意味わがままにも見える行動、言動には彼なりの熱い思いがあり、それこそが妥協しない姿勢なのだろう。当然それに嫌気をさして去るものはいるが、それ以上に彼の魅力にとらわれてついてくるものもいる。怒りとケアを使い分け、ギークでハイクオリティな設計者やデザイナーを引っ張り上げ、早く、そして確実に魅力的な製品を作り続ける。能力のある人間を自分の手元に置けるというのもリーダーシップの一つであり、ジョブズはそのリーダーシップを存分に発揮出来ているのである。

仕事の仕方として面白いのが、まず真似をするということ。そしてその真似の中からオリジナルを加えて成長させていく。一見、オリジナリティ溢れるアップルの製品・サービスも実はそんなにオリジナリティ溢れているわけではない。日本の製品の真似をしているところも多い。しかしその真似を真似のままに見えないよううまくオリジナルのエッセンスを少し混じらせるだけで、あっという間に追い抜いてしまうことができる。そこのエッセンスの加え方のうまさがアップルであり、ジョブズなのである。ただの真似で終わらせない、妥協しない仕事の姿勢の一つである。

妥協をしない仕事の姿勢という意味だと、ジョブズが年俸を1ドルでCEOをしているところが象徴的だ。彼はお金儲けをアップルという会社でしたいわけではなく、宇宙に衝撃を与えるほどのものが作りたいだけ。お金が絡まないからこそ、妥協しない仕事ができる。彼の仕事に対する姿勢を語る上では、この話に尽きるのではないだろうか。

スティーブ・ジョブズ 「超」仕事力
スティーブ・ジョブズ 「超」仕事力



【More:メモ書き】
・もしお客さんに「何が欲しいか」と尋ねていたら「もっと速い馬」という答えしか帰ってこないだろう。
・他人の意見などによって自分の本当の心の声を消してはいけない。自分の直感を信じる勇気をもちなさい。
・不可能を目の前にしても可能と部下に信じさせる、現実歪曲空間を生み出して成功の道をひた走らせるのだ。
・アップルの仕事で特徴的なことを一つあげるとすれば、どんなに細かい点にも目を向けることだ。
・マイクロソフトがiPod使用を自粛要請したとき、マイクロソフトの社員がそもそも社員が使いたいと思うような魅力的な製品を作ることだと言っていたが、これはジョブズが常に言っていることである。
・偉大なアイディアを盗むことに我々はいつも大胆だ。
・金がないなら、知恵を使え。
・何より大切なことは、安易な妥協をしないことだ。時間切れのなし崩し的決着などそこにはない。
・自分の作ったものの九割を捨てる覚悟をしてはじめて、本当に納得のいく一割が得られる。
・知らないからといって恥ずかしがっていたりしてはいけないし、苦手だからといって避けてはいけない。大事なことは知らないからと放置しないことだ。どうやれば知らないことを短時間でマスターできるかに知恵を使う。
・現在たくさん売れている商品でも、いつかは売り上げがダウンして新しい何かに必ず取って代わられる。今の小さな存在は、未来の大きな飛躍へとつながっていく可能性をひめている。
・何事もスタートは真似であり、それに自分のオリジナルを少しづつ加えていくのが成長なのだ。
・演劇のように観客を魅了するジョブズのプレゼンは、人に学び、プレッシャーに耐え、入念でくどいほどのリハーサルをかさね、苦労と成長が織りなして花開いたものだ。優雅に湖面を進む白鳥は、水面下で懸命に水をかいている。
・自分の部署だけで全てを完成させるのだと、こだわってはいけない。見慣れた職場から少し目を上げて視野を広げてみれば、社外にも取引先にも助けてくれる人がいることを見いだせるはず。
・目標を引き下げてゴールするのではない。目標はあくまでも高く掲げ、達成出来ると信じて突き進む。それがマッキントッシュがパソコンとしてあるべき姿を実現できた最大の要因である。
・CEOの年俸を1ドルにすれば会社が助かるという法則はない。ジョブズが年俸1ドルでCEOを引き受けたのは金儲けのためにアップルを経営するのではないから。「宇宙に衝撃を与えるほどのもの」をつくることが目標だった。
・お客さんがドリルを買うのは、ドリルがもたらす便益がほしいのであり、穴があけられるのであればドリルでなくてもよいこと、たとえば穴の開いた商品があればそれにこしたことはないことに想像力を働かせなければならない。
・その道の先達だからといって勝ち続けるわけではない。むしろ競争が激しくなればなるほど、新しいライバルは同じ村の中から出てくるのではなく、村の遥か向こう側からやってくるのだ。
・ビジネスでも、人生でも成功を手にするには時代が追いついてくれるまで待つことも重要なのだ。
・iPodのWindows対応、DRM解禁・・・。レコード業界はジョブズの仕掛けたトロイの木馬にまんまとのせられ、支配者の座を明け渡したと言っても過言ではない。
・心の底から成功したいと願うならば、自分の年齢を基準にしたり、自分の行動の半径内で最適解をさがそうとしてはダメ。
・人間の価値は絶頂期では計れない。どん底の時にこそ本当の勝ちがわかる。苦しいときにチャンスの種をまけるかが、人生の行方を決めるカギなのだ。
・長期の人間関係を築くのか、それとも大恋愛をして燃え上がり、しかし短期間で冷めて別れるカップルのようなスタイルを選ぶのか。どちらの方法もあり。二つの方法の長所と短所をよく知った上でみずから決定することこそ大事。
・ジョブズに限らず、下村博士の発明にしてもそうだが、一つのことに懸命に取り組んで努力を続けていくと時としてその横にチャンスの芽を神様は用意してくれるのかもしれない。
・ピクサーの人材育成。いかにして有能な人材を仕事に惹き付けるか、どうすれば有能な人材から素晴らしい成果をしかも持続的に出し続けられるか。
by tacca884 | 2009-07-31 22:31 |