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「ウェブ進化論」の「玉石混淆(ぎょくせきこんこう:Wheat and Chaff)」的に、"石"とするか"玉"とするかはアナタ次第です。Appleネタと本で生きてます(笑)。雑記は別ブログあり。


by tacca884
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[本] 陳腐化しない究極の啓発本:人を動かす

人を動かす/Dale Carnegie

今更、僕がこの本を取り上げて書評するのは失礼なくらい有名な本。初版はなんと70年も前。僕は恥ずかしながら、その存在を知らずに生きてきました。最近、上司に勧められて読んでみましたが、素晴らしいです・・・今まで色々読んできましたが、感動です。今まで自分がやってきたことが何だったんだろう?と思ってしまうくらい真逆なことばかりをしていました。この本は結論だけではなく、その事例をたくさん載せていてわかりやすいです。くどいなと思うところもあるけど、例があってこそ、理解出来る部分は多いので一つ一つ読んでいくと良い。

この本こそ、僕がここ最近感じつつある「利己的ではなく利他的に」というものを全て表現しているものだと思う。人を批判することは口で言うのは簡単なことではある。批判することは相手のためになると誰しも思うかもしれない。しかし、この本を読むと頭ごなしに批判することで相手が変わったり反省したりするかどうかというと、そんなことはあまり意味をなさず、かえって反感をかってしまうということがわかる。

相手の気持ちになること、相手が何を話したい、主張したいかを真剣に興味を持って聞くこと(アクティブリスニングに近いな)。相手の関心のあるところに対して、本当に身を乗り出すくらい興味を持って面白く話を聞くことによって相手はとても気持ちがよく、こちらの欲しい情報の取得や求めている結果などはこちらからわざわざ口を開いて頼むよりも良い結果を生む。自分のことを聞いてほしいとガンガン話す人は多いけど、実はお互い相手の話、特に自慢話なんかはあまり聞きたいとは思っていない。どんどん相手に自分のことを話してもらって聞き手に回る方が、相手にとっても自分にとってもうまく行く。

また、相手の名前を覚える、相手の誕生日を覚えているというところが、相手に嬉しい気持ちにさせるというのはなかなか興味深い。確かに自分の名前を覚えてもらっていると嬉しいし、何気に誕生日にメールや電話でお祝いが来るとハッピーになる。多くの偉大な方々はたった一度しかあったことが無い人でも名前を覚えているという。僕の最近の新しい上司も異動してきて先ずやったことはグループのメンバの名前を全員覚えることだった。そして事実覚えている。僕は顔と名前を覚えるのが苦手なので、かなりハードルが高いのだが、相手に喜んでもらえるなら今後は頑張っていきたいところだ。

多くの人がやりがちなこととして、誤りを指摘する、議論で論破する、というところ。これも実は誤りを指摘して相手のことを正してやったぞという気持ちは指摘した人間だけ気持ちよく思うだけで指摘された相手はいい気持ちではなく、結局その誤ちは繰り返される。こういう場合は相手に気づいてもらえるよう話を持って行くことが大事。少しの回り道をするだけで、何度も何度も誤りを指摘し続けるよりも生産的だ。議論での論破でもそう。論破した方がさぞ気持ちが良いだろう。しかし負けた方が考えを変えるかというと、反発心を持ってしまい考えを変えることはあまり無い。意見の不一致は実はとても宝物なのだ。自分の考えてもいなかった点を知ることができ、事前に大きな失敗が防げる可能性がある。また、同じ意見しか無い場合には実は片方の人間は要らない人間なのである。

ただ大事なのは、これを真剣に、本当に真剣に、相手のことを思ってやることだ。本で読んだから、研修で受けたからって嘘っぽくうわべだけでやったって、それは全て相手にはわかってしまう。よけいに疑念をもたれてしまうだろう。本当に人間が好きじゃないとできない。自分が特別と思わず、自分の目の前の利益は求めず、相手を尊重することだ。それだけでお互いにハッピーになれる。

思い返せば自分のマネジメントはこの本にあることの真逆をやってきていた。間違いを隅々まで指摘し、論破し、怒りを露にしていた。何で同じ間違いをするのだろう?何で言うことを聞かないのだろう?と悩みつつ、それは相手の不備や不理解が原因だと思い込んでいた。ようは相手を馬鹿にして見ていたってことだ。実はそれは自分の中で熟考が要らない手頃で軽卒な結論づけでしかなったのだ。本当に恥ずかしい。そりゃ一緒に仕事してても嫌になるよな、話なんて聞きたくはないよなと思った。反省すべきところがこの本によって自分にどっと押し寄せてきたのだ。もっと真剣に、一緒に仕事をしてお互いに成長していきたい、みんなで成功したい!って思って行動すべきであると。

本当にこの本を知ることが出来て嬉しかった。知らなくてずっと過ちを犯したまま仕事や生活をしてしまうところだった。先ずは人間を好きになろう。だって、自分の人間だから、相手と同じようになる可能性はある。批判や否定は出来る立場ではないことを念頭においてWIN-WINの関係になれるよう、楽しく仕事をしていこうと思う。
by tacca884 | 2008-04-28 01:26 |