[本] 善意の破壊的イノベーション:グーグルが日本を破壊する
2008年 05月 06日
グーグルが日本を破壊する/竹内一正
なんと日本は閉鎖的なんだろう・・・と改めて思い知らされる本となりました。
グーグルという様々な既存のビジネスをぶっ壊しまくっている会社。ここ数年のインターネット、Web2.0の象徴的存在。その辺が世界レベルで考えると出遅れている日本は、既存のビジネスにしがみつき、規制というバリアを作ってもらって自分たちの利益を確保しつづける。それは利用者という末端の最も重視しなければならない人々のことを無視し、ヌクヌクと美味しい汁を吸い続ける利己的なお金の亡者たち。
テレビ、新聞社、CM・広告業界、携帯電話業界といった閉鎖的な業界はグーグルが打ち出す新しいサービスを非常に危惧している。"中抜き"にされると儲けの無い業界は特にそうだろう。インターネットを使い、簡単に、安く(もしくは無償で)、便利で、既存のものよりも確実にユーザニーズを満たしてくれる。
テレビのCMのように垂れ流しで誰が観ているかわからないもの、ここ最近ではTVのレコーダでは「CM飛ばし」によってCMがほとんど観られないという状況の中、グーグルならアドワーズで検索キーワードや結果、ブログの内容などからユーザニーズをとらえ、テレビCMよりも確実にユーザの心に響く広告を打ち出せる。海外ではTiVoを始め、そのようなレコーダが売れている。日本上陸もあり得る。・・・しかし日本なら、古くからの業界の閉鎖的コネクションから規制を張って自分たちを守るだろう。
新聞社にとってもグーグルは脅威である。グーグルは世界中のあらゆるウェブニュースを収集し、大手の権威ある新聞社の記事も、イエロージャーナリズムな記事も同列に並べる。どの記事が信じれば良いかは新聞社がどこだからということではなく、読むユーザに託される。これこそ常識や先入観にとらわれないフラットな世界だろう。
グーグルが弱い領域である携帯電話も食指を伸ばしている。アンドロイドと呼ばれる携帯電話の開発プラットフォームを立ち上げ、今までだとキャリアや機種が変わると利用できなくなっていたアプリケーションをキャリアや機種を変更しても変わらず利用できるようにして、開発効率を上げようとしている。普通に利用者からすると、機種やキャリアの差で利用できなくなることは企業の都合であり、理解できない。グーグルはそういう疑問を疑問のままじゃなく行動に移す。おかしいことはおかしいと言ってしまうとてもピュアな会社なのだ。
しかしそのピュアは閉鎖的な業界や国家にとっては非常に目の上のタンコブとなる。規制という利用者や国民を騙していたものをディスクローズしてしまうわけだから。権力とは恐ろしいものだ。さすがのグーグルもその権力という力に負けてしまうこともある。なんでもかんでも検索結果に出す事で都合の悪い国もある。ピュアで邪悪なことはしないという方針にすれば国家の都合など関係無いのだが、権力により閉め出されることを考えるとそうも言ってられない。最近は少し「邪悪な」面は出てきているようだ。
また、日本や中国といった規制や国家権力の強い国ではグローバル対応しているグーグルとしてはやりにくいところである。日本だけソフトバンクが筆頭株主であるYahoo! Japanは日本カスタマイズされていることから多くのユーザの支持を受けているし、中国だと百度が人気である。百度は中国の人たちにフィットする検索結果を出せるようになっている。今でもこのローカライズはグローバライズよりも強い。勝手な予想だが、国民的な傾向として自己判断・自己責任を科せられるグローバライズなサービスは面倒なためではないかと。
米国や欧州などでは閉鎖的といわれている業界でも、インターネットの発達の流れやグーグルのビジネスモデルの中で、いかに生き残るかを共存という形で方向転換し始めている(BBCは「もうテレビ局ではない」として、ネット配信などに積極的であったりする)。果たして、日本はこの流れに切り替える事が出来るのだろうか?それとも世界から取り残され、さらに世界と差を付けられ、相手をしてもらえない国になってしまうのだろうか?
様々な先進的サービスを行うグーグルだが、結局のところ多くの収益は広告収益である。ピュアな破壊屋は次の収益手段を模索しなければならない。そして破壊屋はいつか、違う破壊屋に破壊される可能性はある。今のまま、世界を良い方向・あるべき姿に変えるために生き続けるのか?それとも荒らしただけ荒らして消えていくのか?
グーグルにこだわらず、インターネットの世界の発展として必要なものは権力支配からの自由・開放である。あるべき姿を真剣に考え、賢くなり、善意による行動・発言のできる利用者を増やす事でその壁は破壊できるはずだ。
なんと日本は閉鎖的なんだろう・・・と改めて思い知らされる本となりました。
グーグルという様々な既存のビジネスをぶっ壊しまくっている会社。ここ数年のインターネット、Web2.0の象徴的存在。その辺が世界レベルで考えると出遅れている日本は、既存のビジネスにしがみつき、規制というバリアを作ってもらって自分たちの利益を確保しつづける。それは利用者という末端の最も重視しなければならない人々のことを無視し、ヌクヌクと美味しい汁を吸い続ける利己的なお金の亡者たち。
テレビ、新聞社、CM・広告業界、携帯電話業界といった閉鎖的な業界はグーグルが打ち出す新しいサービスを非常に危惧している。"中抜き"にされると儲けの無い業界は特にそうだろう。インターネットを使い、簡単に、安く(もしくは無償で)、便利で、既存のものよりも確実にユーザニーズを満たしてくれる。
テレビのCMのように垂れ流しで誰が観ているかわからないもの、ここ最近ではTVのレコーダでは「CM飛ばし」によってCMがほとんど観られないという状況の中、グーグルならアドワーズで検索キーワードや結果、ブログの内容などからユーザニーズをとらえ、テレビCMよりも確実にユーザの心に響く広告を打ち出せる。海外ではTiVoを始め、そのようなレコーダが売れている。日本上陸もあり得る。・・・しかし日本なら、古くからの業界の閉鎖的コネクションから規制を張って自分たちを守るだろう。
新聞社にとってもグーグルは脅威である。グーグルは世界中のあらゆるウェブニュースを収集し、大手の権威ある新聞社の記事も、イエロージャーナリズムな記事も同列に並べる。どの記事が信じれば良いかは新聞社がどこだからということではなく、読むユーザに託される。これこそ常識や先入観にとらわれないフラットな世界だろう。
グーグルが弱い領域である携帯電話も食指を伸ばしている。アンドロイドと呼ばれる携帯電話の開発プラットフォームを立ち上げ、今までだとキャリアや機種が変わると利用できなくなっていたアプリケーションをキャリアや機種を変更しても変わらず利用できるようにして、開発効率を上げようとしている。普通に利用者からすると、機種やキャリアの差で利用できなくなることは企業の都合であり、理解できない。グーグルはそういう疑問を疑問のままじゃなく行動に移す。おかしいことはおかしいと言ってしまうとてもピュアな会社なのだ。
しかしそのピュアは閉鎖的な業界や国家にとっては非常に目の上のタンコブとなる。規制という利用者や国民を騙していたものをディスクローズしてしまうわけだから。権力とは恐ろしいものだ。さすがのグーグルもその権力という力に負けてしまうこともある。なんでもかんでも検索結果に出す事で都合の悪い国もある。ピュアで邪悪なことはしないという方針にすれば国家の都合など関係無いのだが、権力により閉め出されることを考えるとそうも言ってられない。最近は少し「邪悪な」面は出てきているようだ。
また、日本や中国といった規制や国家権力の強い国ではグローバル対応しているグーグルとしてはやりにくいところである。日本だけソフトバンクが筆頭株主であるYahoo! Japanは日本カスタマイズされていることから多くのユーザの支持を受けているし、中国だと百度が人気である。百度は中国の人たちにフィットする検索結果を出せるようになっている。今でもこのローカライズはグローバライズよりも強い。勝手な予想だが、国民的な傾向として自己判断・自己責任を科せられるグローバライズなサービスは面倒なためではないかと。
米国や欧州などでは閉鎖的といわれている業界でも、インターネットの発達の流れやグーグルのビジネスモデルの中で、いかに生き残るかを共存という形で方向転換し始めている(BBCは「もうテレビ局ではない」として、ネット配信などに積極的であったりする)。果たして、日本はこの流れに切り替える事が出来るのだろうか?それとも世界から取り残され、さらに世界と差を付けられ、相手をしてもらえない国になってしまうのだろうか?
様々な先進的サービスを行うグーグルだが、結局のところ多くの収益は広告収益である。ピュアな破壊屋は次の収益手段を模索しなければならない。そして破壊屋はいつか、違う破壊屋に破壊される可能性はある。今のまま、世界を良い方向・あるべき姿に変えるために生き続けるのか?それとも荒らしただけ荒らして消えていくのか?
グーグルにこだわらず、インターネットの世界の発展として必要なものは権力支配からの自由・開放である。あるべき姿を真剣に考え、賢くなり、善意による行動・発言のできる利用者を増やす事でその壁は破壊できるはずだ。
by tacca884
| 2008-05-06 21:13
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