[本] ナンバー2の存在が重要:あたりまえだけどなかなかつくれない チームのルール
2009年 01月 12日
あたりまえだけどなかなかつくれない チームのルール /小倉広
組織を構成する最小単位である「チーム」。数多く存在するチームがグループを構成し、大きな組織となっていく。チームの活躍が事業の成功を左右するので、いかにチームの力を最大限に発揮させるかというのが組織運営では重要となってくる。この本では言われてみればあたりまえと言ってしまいそうだが、実はそれを実践し切れているチームというのは案外少ないなと感じさせてくれる本だ。
この本は、100のルールを一つ一つ見開き2ページで簡潔に書いてくれている。よって非常に見やすい。文字もゴチャゴチャしていないし、重要なところは太字で書いてくれているので、読むのが早い人なら30分もかからず美味しいところを読み取れるだろう。
とにかくリーダーとはどういう立ち振る舞いをし、どういうチームを作っていくべきなのかが記載されている。特に多く見る言葉が「ナンバー2」についてである。チームを良くするも悪くするものナンバー2をどう育てるか?にかかっている。マネージメント面を多く持ち、チームの将来性を考え方向性を見いだすリーダーという立場と、実際に手や足を動かしプレイヤーとして業務を遂行していくチームのメンバとの間には、立場上どうしても相容れない部分が存在してしまう。意思疎通、指示がうまくいかなかったり、リーダーの思惑どおりに動いてくれなかったりと・・・。そのときに重要になるのがナンバー2の存在である。
ナンバー2はいわゆるリーダーとメンバ間の通訳係となる。そして嫌われ、汚れ役を買って出る。チーム一丸となって成功するために自分の身を捧げようというくらいのことをする。それにより、リーダーの目指す方向性にメンバを引っ張っていくことが出来るし、メンバから吸い上げた問題、提案をリーダーにフィードバックできるのである。その分、リーダーはナンバー2をナンバー2として特別扱いしなければならない。
このナンバー2の話には、ちょっと自分の今の状況に当てはまることがあった。以前は自分がチームリーダーの立場だったが、組織の変更により別のチームリーダーが自分の上に付き、自分はサブという役割となった。今までは自分が全て指示していたことが、リーダーから落とされる立場になって何ヶ月経つが、そのやり方にかなり不満を感じることも多く、文句も多くリーダーに言ってきた。ただ、この本を読んで、自分に求められている役割は実はこのナンバー2の役割(リーダーには自分がそうだとは言われていないが)なのではないかと思っている。よって、最近ではリーダーの指示が不十分で不満があってもあまり何も言わず、自分からメンバに翻訳するようにしてチームがうまく行くことを重点とし、振る舞えるようになってきた。
この本はどちらかというとチームを強くしたいリーダーという立場の人が読む本ではあるが、自分がチームの中のどこのポジションにあるか?という視点を持ってこの本を読んでも面白い。リーダーという立場でなくても、この本からチームを強くするためにリーダーが何を求めているのか?ということがナンバー2やメンバという立場でも読み取ることが出来るからである。
あとは、やはりリーダーは人間であり、リーダーの最大の役割はメンバをやる気にさせること。そしてメンバが仕事がやり難くないように、フォーマット化・ルール化を行い、いつでもメンバの状況を把握できるよう見える化する。そして忘れてはいけないのがメンバへの教育。リーダーが全てを行わず、メンバに考えさせる余地を残し工夫させる。目先の対立を避けず、メンバを成功者とするために親身にコミュニケーションすること。これらがチームの強化に繋がるリーダーの主な業務となる。そしてリーダーはチームのビジョンを明確にして、みんなで成功するぞ!という経営者的な視点も必要である。チームリーダーになる人は将来的には出世して会社の経営面にも入っていく可能性のある人だ。最小単位のチームがうまく運営できない人に会社を任せられるはずがない。
チームを強くすること、それは会社のためでもあり、メンバ社員のためでもあり、そしてリーダーのためでもある。
あたりまえだけどなかなかつくれない チームのルール
【More:メモ書き】
・人は人を変えるは出来ない、しかし変わろうとする人を助けることはできる
・短期的成功と長期的成功の両方を手にしたリーダー
・自ら矛盾の創造者になる
・相手を大切にするとは、相手に合わせてあげること
・ノブレスオブリージュ。高貴なるものの義務。
・仲間のために、裏切らないために頑張る
・YouメッセージではなくIメッセージ
・常勝チームはリーダーがメンバ全員の人生のビジョン・夢を把握している
・ビジョンを言葉にするときはエッジを残し、リスクを取る
・本当の優しさは目先の対立を避けることではなく、相手を人生の勝利者にすること
・ナンバー2をナンバー2として扱い、特別扱いすることが重要
・リーダーシップの四要素。愛情、倫理感、能力、一貫性
・本物のナンバー2は、自分の力を誇示することよりもチームの成功を優先する
・ナンバー2には嫌われ役になることを求めよ
・何よりも仲間の成功を祝う
・CS(顧客満足)とES(社員満足)が一体となっている
・チームのムード・規範を作るのはリーダーの言動。自ら直接コミュニケーション
・0.5秒でピンとくるユニークポイント
・誰でも70点が取れる最低限の合格レベルのマニュアル化。30点を個人の工夫と個性に任せる
・リーダーがきちんとしたひな形を作る
・守・破・離。真似をし、アレンジし、独自のやり方へ
・単純な中間成果の設定が目標達成率を大きく変える
・SMARTの法則。具体的(Specific)、数値化(Measurable)、合意されている(Agreed upon)、現実的(Realistic)、期日が明確(Timely)
・日報の役割。リーダーによるメンバ行動管理、ノウハウ共有、自分の未来の備忘録、伝わる様に書く・まとめる練習
・「見える化」が全自動厳しい装置。その装置のおかげで上司は優しくなれる
・後回しにされる「緊急ではない重要事項」をリーダーがどれだけやったかでチームの強さが決まる
・「緊急かつ重要事項」よりも優先して「緊急ではない重要事項」を先にスケジュールに入れる
・「重要ではない緊急事項」にノーと言う
・曜日と時間を定めて手帳に書かれない重要事項は実現しない
・始めたら褒める。途中経過をほめてあげる
・存在承認。一人一人の違いを認め、一人一人に話かけることは存在を認めること
・チームの存在意義は強烈な精神的報酬となる
・目標設定のGROWモデル。Goal(目指す姿)、Reality(現状)、Option(方法論)、Will(意志)
・追い越し禁止。リーダーはナンバー2を追い越してメンバへ指導するな。ナンバー2はナンバー2を追い越してリーダーへ質問するな
・三流組織は上シャワー。一流組織は横・下シャワー
・参加型にするには、「本当に」参加させる(リーダーで多く決めない)。リーダーとの約束ではなく自分や仲間との約束として求める
・遠くを見渡す視点の高さと広い視野。方向を示す着眼点と構想力、皆を勇気づける情熱と話術
・部長になってから、部長の仕事をするのではない
・求めるから手に入らない。求めなくなったときに自然に手に入る
組織を構成する最小単位である「チーム」。数多く存在するチームがグループを構成し、大きな組織となっていく。チームの活躍が事業の成功を左右するので、いかにチームの力を最大限に発揮させるかというのが組織運営では重要となってくる。この本では言われてみればあたりまえと言ってしまいそうだが、実はそれを実践し切れているチームというのは案外少ないなと感じさせてくれる本だ。
この本は、100のルールを一つ一つ見開き2ページで簡潔に書いてくれている。よって非常に見やすい。文字もゴチャゴチャしていないし、重要なところは太字で書いてくれているので、読むのが早い人なら30分もかからず美味しいところを読み取れるだろう。
とにかくリーダーとはどういう立ち振る舞いをし、どういうチームを作っていくべきなのかが記載されている。特に多く見る言葉が「ナンバー2」についてである。チームを良くするも悪くするものナンバー2をどう育てるか?にかかっている。マネージメント面を多く持ち、チームの将来性を考え方向性を見いだすリーダーという立場と、実際に手や足を動かしプレイヤーとして業務を遂行していくチームのメンバとの間には、立場上どうしても相容れない部分が存在してしまう。意思疎通、指示がうまくいかなかったり、リーダーの思惑どおりに動いてくれなかったりと・・・。そのときに重要になるのがナンバー2の存在である。
ナンバー2はいわゆるリーダーとメンバ間の通訳係となる。そして嫌われ、汚れ役を買って出る。チーム一丸となって成功するために自分の身を捧げようというくらいのことをする。それにより、リーダーの目指す方向性にメンバを引っ張っていくことが出来るし、メンバから吸い上げた問題、提案をリーダーにフィードバックできるのである。その分、リーダーはナンバー2をナンバー2として特別扱いしなければならない。
このナンバー2の話には、ちょっと自分の今の状況に当てはまることがあった。以前は自分がチームリーダーの立場だったが、組織の変更により別のチームリーダーが自分の上に付き、自分はサブという役割となった。今までは自分が全て指示していたことが、リーダーから落とされる立場になって何ヶ月経つが、そのやり方にかなり不満を感じることも多く、文句も多くリーダーに言ってきた。ただ、この本を読んで、自分に求められている役割は実はこのナンバー2の役割(リーダーには自分がそうだとは言われていないが)なのではないかと思っている。よって、最近ではリーダーの指示が不十分で不満があってもあまり何も言わず、自分からメンバに翻訳するようにしてチームがうまく行くことを重点とし、振る舞えるようになってきた。
この本はどちらかというとチームを強くしたいリーダーという立場の人が読む本ではあるが、自分がチームの中のどこのポジションにあるか?という視点を持ってこの本を読んでも面白い。リーダーという立場でなくても、この本からチームを強くするためにリーダーが何を求めているのか?ということがナンバー2やメンバという立場でも読み取ることが出来るからである。
あとは、やはりリーダーは人間であり、リーダーの最大の役割はメンバをやる気にさせること。そしてメンバが仕事がやり難くないように、フォーマット化・ルール化を行い、いつでもメンバの状況を把握できるよう見える化する。そして忘れてはいけないのがメンバへの教育。リーダーが全てを行わず、メンバに考えさせる余地を残し工夫させる。目先の対立を避けず、メンバを成功者とするために親身にコミュニケーションすること。これらがチームの強化に繋がるリーダーの主な業務となる。そしてリーダーはチームのビジョンを明確にして、みんなで成功するぞ!という経営者的な視点も必要である。チームリーダーになる人は将来的には出世して会社の経営面にも入っていく可能性のある人だ。最小単位のチームがうまく運営できない人に会社を任せられるはずがない。
チームを強くすること、それは会社のためでもあり、メンバ社員のためでもあり、そしてリーダーのためでもある。
あたりまえだけどなかなかつくれない チームのルール
【More:メモ書き】
・人は人を変えるは出来ない、しかし変わろうとする人を助けることはできる
・短期的成功と長期的成功の両方を手にしたリーダー
・自ら矛盾の創造者になる
・相手を大切にするとは、相手に合わせてあげること
・ノブレスオブリージュ。高貴なるものの義務。
・仲間のために、裏切らないために頑張る
・YouメッセージではなくIメッセージ
・常勝チームはリーダーがメンバ全員の人生のビジョン・夢を把握している
・ビジョンを言葉にするときはエッジを残し、リスクを取る
・本当の優しさは目先の対立を避けることではなく、相手を人生の勝利者にすること
・ナンバー2をナンバー2として扱い、特別扱いすることが重要
・リーダーシップの四要素。愛情、倫理感、能力、一貫性
・本物のナンバー2は、自分の力を誇示することよりもチームの成功を優先する
・ナンバー2には嫌われ役になることを求めよ
・何よりも仲間の成功を祝う
・CS(顧客満足)とES(社員満足)が一体となっている
・チームのムード・規範を作るのはリーダーの言動。自ら直接コミュニケーション
・0.5秒でピンとくるユニークポイント
・誰でも70点が取れる最低限の合格レベルのマニュアル化。30点を個人の工夫と個性に任せる
・リーダーがきちんとしたひな形を作る
・守・破・離。真似をし、アレンジし、独自のやり方へ
・単純な中間成果の設定が目標達成率を大きく変える
・SMARTの法則。具体的(Specific)、数値化(Measurable)、合意されている(Agreed upon)、現実的(Realistic)、期日が明確(Timely)
・日報の役割。リーダーによるメンバ行動管理、ノウハウ共有、自分の未来の備忘録、伝わる様に書く・まとめる練習
・「見える化」が全自動厳しい装置。その装置のおかげで上司は優しくなれる
・後回しにされる「緊急ではない重要事項」をリーダーがどれだけやったかでチームの強さが決まる
・「緊急かつ重要事項」よりも優先して「緊急ではない重要事項」を先にスケジュールに入れる
・「重要ではない緊急事項」にノーと言う
・曜日と時間を定めて手帳に書かれない重要事項は実現しない
・始めたら褒める。途中経過をほめてあげる
・存在承認。一人一人の違いを認め、一人一人に話かけることは存在を認めること
・チームの存在意義は強烈な精神的報酬となる
・目標設定のGROWモデル。Goal(目指す姿)、Reality(現状)、Option(方法論)、Will(意志)
・追い越し禁止。リーダーはナンバー2を追い越してメンバへ指導するな。ナンバー2はナンバー2を追い越してリーダーへ質問するな
・三流組織は上シャワー。一流組織は横・下シャワー
・参加型にするには、「本当に」参加させる(リーダーで多く決めない)。リーダーとの約束ではなく自分や仲間との約束として求める
・遠くを見渡す視点の高さと広い視野。方向を示す着眼点と構想力、皆を勇気づける情熱と話術
・部長になってから、部長の仕事をするのではない
・求めるから手に入らない。求めなくなったときに自然に手に入る
by tacca884
| 2009-01-12 22:18
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